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【 海の話 】 山村暮鳥 童話集『ちるちる みちる』大正9年(1920年) より
キリスト教精神にみちた、美しくも悲しい物語、大人も考えさせられる寓話を集めた童話集で、愛娘に寝床で語り聞かせたお伽噺がもとになっているといわれています。
信仰に生き、病と貧困に苦しみながらも、社会や自己を厳しく見つめながら自分の世界観を表現し続けた人だと思います。
これは燕の親子のお話ですが、人にとっても鳥にとっても、親の子への想いは、生きものすべてに共通する不変の愛のカタチなんんだろうなぁと、そんな人形をつくりたくなりました。
短いお話なので、ぜひご一読ください。
作品について・・・
ひとりずつ手作りしている、てびねりの陶人形です。
素材は陶土を使用しています。
翼と衣装の一部分には薄く透明釉を施しているので、その部分は少し光沢があります。
その他の部分は釉薬を使用していないので、表面は少しザラザラしています。
・・ご購入の際の注意点・・
・作品はすべて素焼き(800℃)、本焼き(1250℃)と灯油窯で焼成しています。
・地域によって配送料金が異なります。
・ご購入前に作品の「サイズ」や「素材」を十分にご確認頂きますようお願い致します。
・画面上と実物では色が異なって見える場合があります。ご不明な点がありましたら、お問い合わせください。
・この作品は、他のサイト、イベントや展示会でも販売することもありますので、ご注文いただいた時点で在庫切れとなってしまっていることもあります。
販売済み作品はできるだけ速やかに表示切替するように心がけますが、その時はどうぞご了承ください。
海の話
或る農村にびんぼうなお百姓がありました。びんぼうでしたが深切で仲の善い、家族でした。そこの鴨居にことしも燕が巣をつくつてそして四五羽の雛をそだててゐました。
その日は朝から雨がふつてゐました。
巣の中で、胸毛にふかく頸をうづめた母燕が眠るでもなく目をつぶつてじつとしてゐると雛の一つがたづねました。
「母ちやん、何してるの。え、どうしたの」
と、しんぱいして。
「どうもしやしません。母ちやんはね。いま考え事をしてゐたの」
すると、他の雛が
「かんがえごとつて何」
「それはね……さあ、何と言つたらいいでせう。あんた達がはやく大きくなると、此の國にさむいさむい風が吹いたり、雪がふつたりしないうちに遠い遠い故郷のお家へかえるのよ。そして遠い遠いその故郷のお家へかえるには、それはそれは長い旅をしなければならないの。それがね、森や林のあるところならよいが、疲れても翼をやすめることもできず、お腹が空いても何一つ食べるものもない、ひろいひろい、それは大きな、毎日毎晩、夜も晝も翅けつづけで七日も十日もかからなければ越せない大きな海の上をゆくのよ」
「まあ」と、それを聽いて雛達はおどろきました。
「それだからね、翼の弱いものや體の壯健でないものは、みんな途中で、かわいさうに海に落ちて死んでしまふのよ」
氣速なのが
「たすけたらいい」と横鎗をいれました。
「ところがね、それが出來ないの。なぜつて、誰も彼も自分獨りがやつとなのよ。みんな一生懸命ですもの。ひとを助けやうとすれば自分もともども死んでしまはねばならない。それでは何にもならないでせう。ほんとに其處では助けることも助けられることもできない。まつたく薄情のやうだが自分々々です。自分だけです。それ外無いのさ、ね」
「でも、もし母ちやんが飛べなくなつたら、僕、死んでもいい、たすけてあげる」
「そうかい、ありがとう。だけどね、またその蒼々とした大きな海を無事にわたり切つて、陸からふりかへつてその海を沁々眺める、あの氣持つたら……あの時ばかりは何時の間にかゐなくなつてゐる友達や親族もわすれて、ほつとする。ああ、あの嬉しさ……」
「はやく行つて見たいなあ」
「わたしもよ、ね、母ちやん」
「ええ、ええ。誰もおいては行きません。ひとり殘らず行くのです。でもね、いいですか、それまでに大きくそして立派に育つことですよ。壯健な體と強い翼! わかつて」
「ええ」
「ええ」
「ええ」
と小さい嘴が一齊にこたへました。母燕はたまらなくなつて、みんな一しよに抱きしめながら
「何てまあ可愛んだろ」
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